急成長フェーズの医療テック企業(従業員約150名)では、顧客情報が国内DB・kintone・Excelなど10箇所以上に分散していました。マーケティングチームは業務時間の約30%以上を「最新リストの作成」や手作業クレンジングに費やしており、CRMに情報を入れる理由を見いだせない状態でした。データが複数システムに分散し、「どこが正か」が誰にも分からない状態では、CRMへの入力は単なる追加作業にしかなりません。
設計の見直しにより、データ管理・抽出業務を約65%削減し、チーム全体で月約100時間の工数を創出しました。チームはオペレーション中心の業務から戦略実行へ移行しています。問題は意識の低さではなく、「入力したくなる構造」が存在していなかったことでした。
あなたの組織は大丈夫か——5つの確認項目
- CRMに入力しても、次に活用される場面を見たことがない
入力した情報が会議の報告に使われるだけで、自分の仕事を楽にしてくれた経験がない場合、現場はCRMを「管理のためのツール」と認識しています。
- 同じ顧客情報を複数のシステムに入力している
HubSpotにも入力して、kintoneにも入力して、Excelにも記録する——この二重・三重の入力が常態化していませんか。
- 最新の顧客情報を確認したいとき、担当者への口頭確認が最速
CRMを開くより「〇〇さんに聞いた方が早い」が当たり前になっているなら、データが特定個人に属人化しています。
- 会議のたびに手動でリストを作り直している
月次会議や週次レビューのたびにExcelで集計作業が発生しているなら、CRMのデータが活用できる状態になっていません。
- CRMのデータが古くなっても誰も更新しない
更新しなくても誰にも困らない状態が続いているなら、CRMが業務フローに接続されていません。
3つ以上当てはまる場合、問題は意識の低さでも入力ルールの甘さでもありません。「入力したくなる構造」が設計されていないことが本質です。
CRMが使われなくなる3つのパターン
- CRMが「管理ツール」として設計されている
入力した情報が上司の確認や会議の報告のためだけに使われ、入力した本人の仕事を楽にしない設計になっている場合、現場への入力メリットが存在しません。前述の医療テック企業でも、入力した後に「最新リストを再作成する」という別の作業が発生し続けていました。CRMが管理側のためだけに機能している限り、定着は起きません。
判断基準:「CRMに入力すると、あなたの仕事がどう楽になりますか」と現場に聞いたとき、即答できなければ管理ツールになっています。
- 入力コストが利用メリットを上回っている
データが複数システムに分散していると、同じ情報を複数箇所に入力する二重入力が常態化します。前述の企業では業務時間の30%以上が手作業クレンジングに費やされており、「入力すること」自体が仕事になっていました。この状態では、入力ルールを強化しても定着しません。コストを下げる設計が先です。
判断基準:1つの顧客情報を更新するのに何システムを操作するか数えると、入力コストが可視化されます。
- データが分散し「どこが正か」が分からない
10箇所以上に分散したデータは、どのシステムが最新か誰も把握できない状態を生みます。「入力したのに別システムでは違う情報になっている」が続くと、CRMへの不信感が醸成されます。不信感のあるシステムは使われなくなります。医療テック企業での解決策は、単一の正データ基盤を構築し、分散を解消することでした。
判断基準:「この顧客の最新情報はどこにありますか」と5人に聞いたとき、複数の異なる答えが返ってくれば分散が起きています。
設計を変えた後に何が起きたか
前述の医療テック企業では、「入力ルールの強化」ではなく「入力したくなる構造の設計」からプロジェクトを進めました。その結果、以下の変化が起きました。
- データ管理・抽出業務を約65%削減し、手作業から解放
kintoneなど複数システムとのデータ連携を自動化し、「最新リストの作成」という手作業を排除しました。人手による更新作業がなくなり、データが自動的に最新状態に保たれるようになりました。
- チーム全体で月約100時間の工数を創出
データ整備に費やしていた時間が戦略業務へシフトしました。4名のマーケティングチームがオペレーション中心から戦略実行へ移行し、キャンペーン設計やLTV向上施策に集中できるようになりました。
- 施策ごとのROIをリアルタイムで把握できる環境を構築
単一の正データ基盤が整ったことで、どの施策がどの成果につながっているかを即座に確認できるようになりました。入力したデータが戦略判断に使われる状態が、入力の定着を支えています。
入力ルールを変えたのではなく、「入力すると仕事が楽になる構造」を設計しました。
今週から始められる3つのアクション
- 「この顧客の最新情報はどこにあるか」を現場5人に聞く
全員が同じ答えを返せるかどうかを確認します。複数の答えが返ってきたとき、どのシステムへの不信感が強いかも聞きます。この会話だけで、分散の構造と入力が定着しない理由が見えてきます。
- 「CRMに入力した後に何が起きるか」を現場にヒアリングする
入力した情報が自分の仕事を楽にした経験があるかを確認します。「会議の報告に使われるだけ」という答えが多い場合、管理ツール化が起きています。「入力すると何が変わるか」を設計することが次のステップです。
- 最も頻繁に手動で集めているデータを1つ特定し、自動化できるか検討する
「毎週Excelで集めているデータ」を1つ選び、そのデータをCRMに自動集約できるか検討します。1つの自動化成功体験が、「CRMを使うと楽になる」という認識の転換点になります。
まとめ:CRMの定着は「設計の問題」
CRMを導入しても現場が入力しなくなる原因は、意識の低さでも意欲の問題でもありません。「管理ツールとして設計されていること」「入力コストが利用メリットを上回っていること」「どこが正データか分からないこと」が構造的な原因です。
医療テック企業の事例が示すように、月約100時間の工数を創出できた背景には「入力したくなる構造」の設計がありました。CRMが使われるかどうかは、ルールの強さではなく、設計の質で決まります。
CRMが現場で使われ続ける構造を設計する
Consilegyはデータ統合・自動化・運用設計を横断し、「入力したくなるCRM」の構築を支援します。入力ルールの強化より先に、設計の問題から解決しましょう。
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