ITバックオフィスSaaS企業(従業員約200名)では、リード数は順調に増加していました。しかし営業からは「リードの質が低い」との不満が上がり、マーケティング側は「なぜ商談にならないのか」が分からない状態が続いていました。両部門はHubSpotを使っていましたが、「何がMQLか」「何がSQLか」の定義が部門ごとに違っていました。CRMというツールは共有されていましたが、共通の言語が存在しませんでした。

行動スコアリングの導入・引き渡し基準の標準化・部門間のリード定義の統一を経て、MQL→SQL転換率が最大20%向上し、低確度リードへの接触を削減して高スコアリードへの集中が可能になりました。ツールを変えたのではなく、「同じリードを同じ基準で見る」設計を作ったことで変わりました。

あなたの組織は大丈夫か——5つの確認項目

  1. 営業が「マーケのリードは質が低い」と感じている

    営業チームから「送られてくるリードが購買意欲の低いものばかり」という声が上がっている場合、マーケティングと営業でリードの質の基準が違います。

  2. マーケティングが「なぜリードが商談にならないのか」が分からない

    リードを送っても商談化率が低い。しかしどのリードが商談になり、どれがならなかったかのフィードバックが来ない場合、両部門の間に断絶があります。

  3. MQLとSQLの定義が書面で存在しない、または部門ごとに違う

    「MQLとは何か」「SQLに引き渡す条件は何か」を口頭でなく書面で即答できない場合、定義が存在していません。

  4. 引き渡し判断が担当者によって違う

    「Aさんが担当するときは早めに引き渡すが、Bさんは遅い」という状況がある場合、引き渡し基準が属人化しています。

  5. 会議で「リードの質」について議論が発生するが、結論が出ない

    マーケティングと営業が同席する会議で「質の良いリードを増やす」という話になるが、「質が良い」の定義が共有されていない場合、議論は循環します。

3つ以上当てはまる場合、問題はCRMの機能不足でも部門間の関係性の問題でもありません。「同じリードを同じ基準で見る定義」が存在していないことが本質です。

CRMがあっても連携できない3つのパターン

  1. MQL・SQLの定義が部門ごとに違う

    マーケティングにとって「資料請求した人=MQL」、営業にとって「具体的な検討意欲がある人=SQL候補」という認識のズレが存在する場合、同じデータを見ていても違うものを議論しています。前述のSaaS企業では、行動データに基づくスコアリングを導入し、「受注に近い行動」を定量的に定義することから始めました。まず定義を合わせることが、連携の前提条件です。

    判断基準:「MQLとは何か」を営業とマーケティングに別々に書いてもらい、一致するかどうかで確認できます。

  2. 引き渡し判断が「感覚」に依存している

    「このリードはなんとなく良さそう」という担当者の感覚で引き渡しが決まっている場合、引き渡しのタイミングと品質が担当者によってブレます。前述のSaaS企業では、一定スコアに到達したタイミングで、必要な情報とともに営業へ自動通知する仕組みを整備しました。感覚依存を排することで、転換率の安定化が実現しました。

    判断基準:「どのタイミングでリードを営業に引き渡しますか」と担当者に問うたとき、全員が同じ条件を言えるかどうかで確認できます。

  3. 成功の定義が営業とマーケで違う

    マーケティングは「リード獲得数・CPA改善」を成功指標とし、営業は「受注数・売上」を成功指標としている場合、両者の「良い仕事」が一致しません。マーケが「良いリードを送った」と思っていても、営業が「使えないリードが来た」と感じている場合、それはどちらかが間違っているのではなく、共通の成功定義がない構造問題です。

    判断基準:「今月のマーケティングの成功とは何ですか」を営業と経営の両方に聞いたとき、同じ答えが返るかどうかで確認できます。

定義を揃えた後に何が起きたか

前述のSaaS企業では、ツールを変えるのではなく、「マーケティングと営業が同じ基準でリードを判断できる運用ルール」の設計から始めました。その結果、以下の変化が起きました。

  1. MQL→SQL転換率が最大20%向上

    行動スコアリングにより優先度の高いリードが正確に特定されるようになり、営業への引き渡し精度が上がりました。

  2. 低確度リードへの接触を削減し、高スコアリードへ集中できる状態を構築

    営業リソースを確度の高い案件に集中させることができるようになり、商談あたりの効率が改善しました。

  3. パイプラインが可視化され、施策と収益の因果関係を把握可能に

    どのマーケティング施策がどの段階の商談につながっているかが見えるようになり、「良い施策」の定義が数字で議論できるようになりました。

ツールを変えたのではなく、「同じリードを同じ基準で見る」定義を揃えました。

今週から始められる3つのアクション

  1. 「MQLとは何か」を営業とマーケが別々に書き、比較する

    各部門のMQL定義を文書で書いてもらい、どこが一致しどこが違うかを確認します。一致していない部分が、連携が機能していない構造的な理由です。

  2. 直近3ヶ月の受注案件に共通する「引き渡し前の行動」を書き出す

    受注した商談のリードが、引き渡し前にどんな行動をしていたかを確認します。「価格ページを見た」「デモ申込をした」などの共通パターンが、スコアリング設計の起点になります。

  3. 行動スコアリングの基準を1つだけ決める

    「この行動をした人は優先度が高い」という基準を1つ選びます。例えば「価格ページ訪問で+10点、デモ申込で+30点」。完璧な設計より、1つ決めることが先です。

まとめ:営業・マーケ連携は「定義の問題」

CRMがあっても営業とマーケティングが連携できない原因は、ツールの機能不足でも部門間の意識の低さでもありません。「MQL・SQLの定義が部門ごとに違うこと」「引き渡し判断が感覚依存であること」「成功の定義が両部門で一致していないこと」が構造的な原因です。

SaaS企業の事例が示すように、MQL→SQL 最大20%向上を実現したのは定義の設計でした。「同じデータを同じ言語で議論できる状態」を作ることが、営業・マーケ連携の第一歩です。

営業とマーケが同じ基準でリードを見る状態を設計する

ConsilegyはMQL・SQL定義の標準化から行動スコアリング・引き渡し自動化まで、営業・マーケ連携の基盤構築を支援します。まずは定義のズレを整理するところから始めましょう。

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