はじめに:ツールは揃っている。なのに、売上が「見えない」

HubSpotを入れた。SalesforceにMAも連携した。KPIダッシュボードも整備した。

それでも、こんな状況が続いていないでしょうか。

  • マーケティングの施策が、最終的に受注につながったのかわからない
  • 営業がCRMに入力してくれない、入力が形骸化している
  • MQLとSQLの定義が、部門によって微妙にズレている
  • SalesforceとHubSpotで、なぜか数字が合わない
  • 営業会議の直前に、結局Excelで手集計している
  • レポートごとに数字が違い、「どれが正しいのか」が分からない

20名から300名規模のBtoB企業で、こうした状況に直面している経営者・事業責任者は少なくありません。

ツールは増えた。人も増えた。分業も進んだ。それなのに、「今月どの施策が受注を生んだか」が、即座に答えられない。

この問題の原因は、CRMの使い方でも、営業とマーケのコミュニケーション不足でもありません。根本にあるのは、収益構造そのものが設計されていないという事実です。


なぜCRMを導入しても解決しないのか

CRM(顧客関係管理システム)は、顧客情報・商談情報を管理するための優れたツールです。HubSpot、Salesforce、Kintone——いずれも、適切に使えば強力な武器になります。

しかし、CRMを導入しただけでは、以下のことは自動では整いません。

  • 営業とマーケティングの共通KPI定義
  • 部門間の「パス」を出す条件とフロー
  • データ構造と「何を正とするか」のマスターデータ管理
  • 受注後のカスタマーサクセスとの情報連携ルール
  • 会議体と意思決定のプロセス

ツールはあくまで「器」です。その器に何を入れ、どう流し、誰が何を見て判断するか。この「設計(アーキテクチャ)」がなければ、どれだけ高価なツールを導入しても、売上改善の再現性は生まれません。


部門ごとに起きている「情報の孤立(サイロ化)」

多くの企業では、各部門が最適化を求めた結果、情報の「壁」が生まれています。

マーケティングは、リードの「その後」が見えていない

マーケティングチームは、広告のCPA、CV数、MQL数を追っています。しかし、そのリードが最終的に、受注したのか、継続したのか、LTV(顧客生涯価値)につながったのかという「出口のデータ」が見えていないケースがほとんどです。

結果として、施策の「質」より「量」を追いやすくなります。

営業は、「なぜ受注できたか」を構造化できていない

営業は目の前の商談に集中します。しかし、どの施策経由のリードか、どの訴求が刺さったか、どの顧客が継続しやすいかといった情報は、個人の「感覚」に留まり、組織知になりません。優秀な営業ほど、そのナレッジは属人化していきます。

カスタマーサクセスは、契約後に「孤立」する

「どんな顧客が継続しやすいか」という情報は、本来マーケティングの獲得戦略を左右する重要データです。しかし、契約後の利用状況やチャーン(解約)理由が、営業・マーケティングへフィードバックされる仕組みを持つ企業は極めて少数です。

Marketing
HubSpot MA
KPI:リード数 / CV数
Sales
Salesforce Excel
KPI:受注数 / 商談数
Customer Success
Excel CS Tool
KPI:継続率 / 対応件数
数字が合わない 施策と受注がつながらない Excel集計が残る
部門ごとに最適化した結果、ツール・KPI・データが分断され、収益全体が見えない状態に陥る

「営業とマーケが連携できない」の本当の原因は3つある

なぜ、優秀な人材を集め、ツールを整えても連携が阻まれるのか。その理由は、3つの構造的な欠陥にあります。

01

KPIが部門ごとに「分断」されている

マーケはリード数、営業は受注数、CSは継続率。この状態では、部門を跨ぐ「MQLの定義」や「商談化の基準」が曖昧になり、会議での議論が、改善のための対話ではなく「責任の押し付け合い」に変貌します。

02

CRMが「管理ツール」として機能している

CRMの本来の目的は、売上予測やパイプライン分析による「攻め」の意思決定です。しかし現場では、入力項目が多すぎる、運用ルールが曖昧、現場メリットが見えないことで、「管理されるためのツール」と化しています。これでは入力率が下がり、データが死ぬのは必然です。

03

収益データの流れ(Revenue Data Flow)が設計されていない

「マーケはHubSpot、営業はSalesforce、請求は会計ソフト、集計はExcel」。これらが個別に存在し、データの接続が設計されていないため、「どの数字を信じていいか分からない」という事態を招きます。

これは担当者の怠慢ではありません。「どのデータが、どこから、どこへ流れ、何を正とするか」が決まっていない、構造上の問題です。


解決策は、ツールではなく「Revenue Architecture」

これらを解決するために必要なのは、新しいツールの追加ではありません。必要なのは、Revenue Architecture(レベニューアーキテクチャ)という、収益を創出するための全体設計図です。

Revenue Architectureとは何か

Revenue Architectureとは、営業・マーケティング・カスタマーサクセス・CRM・KPI・データを、「収益につながる一つの流れ」として統合・設計する考え方です。

より具体的に言えば、「どのデータを、どのシステムで、誰が管理し、どのタイミングで次工程へ渡すか」を整理する設計図です。

これは「現場の運用」を指すRevOps(Revenue Operations)とは異なります。RevOpsが「運用(エンジンを回す)」であれば、Revenue Architectureは「設計(エンジンの設計図)」にあたります。

Marketing
Sales
Customer Success
Revenue Architecture
収益構造設計
CRM KPI Data Process
施策
商談
受注
継続
アップセル
Revenue Architectureは部門・ツール・データを接続し、施策から継続収益までを一本の構造として設計する

この順序を飛ばしてツールや運用だけを改善しても、根本的な解決には至りません。


欧米型RevOpsを、そのまま導入しても機能しない理由

近年、日本でもRevOpsという言葉が広がっています。しかし、海外のRevOpsモデルをそのまま導入しても、日本企業では定着しないケースが少なくありません。

理由は単純です。日本企業では、営業組織の役割分担、承認文化、Excel運用、稟議フロー、情報共有の習慣、部門責任の考え方が、欧米企業と大きく異なるからです。

重要なのは、海外の理論を導入することではなく、日本企業の現場で機能する形へ翻訳することです。Revenue Architectureは、その「翻訳」のための考え方でもあります。

Revenue Architecture
構造設計
CRM設計 KPI定義 データモデル 収益プロセス設計
RevOps
運用・改善
KPIレビュー 会議運営 改善活動 部門連携
Revenue Architectureという「設計図」があってはじめて、RevOpsという「運用」が正しく機能する

Revenue Architectureを整えると、何が変わるのか

施策と売上が「一本の線」でつながる

どの広告、どのコンテンツが、最終的にどれだけの収益(ARR)に貢献したか。経営者から現場までが同じデータで確認し、「感覚」ではなく「構造」で投資判断ができるようになります。

会議が「数字の確認」から「戦略の議論」に変わる

全員が同じKPI定義・同じデータソースを参照するため、「この数字の根拠は?」という無駄な確認作業が消えます。

CRMが「武器」になる

現場が「入力することで自分の営業活動が楽になる」状態を前提に設計することで、データの鮮度が劇的に向上します。結果として、売上予測(フォーキャスト)の精度も大きく改善します。


Consilegyのアプローチ

Consilegy(コンシレジー)では、CRM導入を「ツールの初期設定」とは捉えていません。重要なのは、どのデータを、どのシステムで、誰が管理し、どのKPIで判断し、どう売上につなげるかを、一つの収益構造として整理することです。

支援領域 内容
Strategy GTM戦略・KPI体系の再設計
Architecture Revenue Data Flow設計・CRM / SFA構造改革
Operations RevOps体制構築・運用定着
Technology HubSpot / Salesforce等の連携・実装

私たちは、ツール導入をゴールにしません。「施策が確実に受注へ転換される構造」を作ることが、Consilegyの役割です。


まず、自社の「分断」を可視化することから始める

営業・マーケティング・CS・CRMがバラバラに動いている状態では、どんなに優れた施策も、砂に水を撒くようなものです。

まず必要なのは、どこで情報が途切れているのか、どこで責任が曖昧なのか、どこで数字がズレているのかを、構造として整理することです。